あらすじ
都会の喧騒の中、一時間一六五〇円で「効率」と「虚栄心」を売るシェアラウンジ『オアシス』――通称・シェアラン。
そこに、毎日同じ特等席に陣取る一人の老人がいた。名は源三、七十歳。
使い込まれたMacBookを操り、重厚なオーラを放つその姿は、若き起業家たちから「伝説の投資家」と崇められている。……が、その実態は、メルカリの三〇〇円の値下げ交渉に命を懸け、週末のソロキャンプだけを生きがいにする、ただの「隠居生活を満喫したいお爺ちゃん」だった!
しかし、彼には秘密があった。
彼は、現代に生きる「戸隠忍者の末裔」。
かつてモーレツ社員として戦い、国家規模の事件を陰で処理してきた彼は、今でも困った人を見捨てられない。
「……やれやれ。三十分だけだ」
一発逆転を狙う詐欺師、ブラック企業に疲弊するかつての部下、そして「効率」に魂を売ったライバルたち。
源三は、年齢ゆえに「三十分」しか持たない神速のタイピングと、微妙に役に立たない忍術を駆使し、都会の歪みを笑い飛ばしていく。
世のサラリーマンよ、笑って楽しめ。
これは、最高に贅沢で、最高に無駄な、一人の老人の「悠々自適(?)なソロ活」の記録である。
登場人物紹介
🥷 源三(げんぞう)/ 70歳
本作の主人公。一八〇センチの長身にツイードジャケットを纏うダンディ老人。
• 正体: 戸隠忍者の末裔にして、元・大手商社の伝説的営業部長。
• 特性: 本気(マジ)モードになると世界一の事務処理能力を発揮するが、三十分でエネルギーが切れてシャットダウン(気絶)する。
• 趣味: ソロキャンプ、メルカリでの流木販売、シェアランでの人間観察。
☕ サキ
シェアラン『オアシス』の新人女性スタッフ。
• 役割: 源三の「凄まじい能力の無駄遣い」に唯一ツッコミを入れられる存在。入社時にお客さんである源三にいろいろ仕事を教えてもらった恩義を持ち、源三を面倒見ることが多い(傍目には介護)
• 性格: 現代の働き方に疑問を持ちつつも、源三との雑談を密かに楽しんでいる。実は源三のポイ活仲間。
💻 カイト
「ビジネス忍者ハック」を提唱する意識高い系の若者。
• 役割: 源三のタイピング速度に惚れ込み、勝手に弟子入りした「現代の忍者(自称)」。
• 成長: 効率ばかり求めていたが、源三の泥臭い戦いを見て、汗をかく大切さに目覚めていく。
🥷 伊賀崎(いがさき)
源三の現役時代からの宿敵であり、伊賀忍者の末裔。
• 役割: 家族を守るために忍者を抜け、トラック運転手として働く苦労人。
• 秘密: 実は昔から源三に(ライバルとしての)恋慕に近い敬意を抱いている。
👮 大河原(おおかわら)署長
地元の警察署長。
• 関係: 源三とはかつての事件を解決した「マブダチ」。
• 裏側: 源三の正体を隠蔽しつつ、時々こっそり捜査の相談(と高級羊羹の差し入れ)にやってくる。