あらすじ

ウェディングプランナーとして働く篠宮葵、35歳。 花嫁を幸せにすることだけを考えて、13年間この仕事を続けてきた。傍らにはいつも、同期で親友の夏川凛がいた。業界で輝かしいキャリアを築く凛は、葵にとって憧れであり、支えであり、唯一無二の存在だった。 ある夜、業界最大の授賞式で凛がグランプリを受賞した。壇上でのスピーチを、葵は客席から誇らしく聞いていた。しかしその瞬間、葵の拍手が止まる。凛の口から出てきたのは、13年前の夜、葵が初めて誰かに打ち明けた、葵だけの夢の言葉だったから。 あれは偶然なのか。それとも。 眠れない夜、葵は古いノートを引き出しの奥から取り出す。書き留めてきたアイデア、諦めてきた夢、凛に相談するたびに「難しい」と言われ続けてきた計画。一つひとつを照らし合わせていくうちに、13年間の「親切」が別の形を帯び始める。 やがて葵の前に、一人のジャーナリストが現れる。業界の慣行を長年取材してきた橘颯は言う。「被害者側が気づかないことが多い」と。 怒鳴らない。泣き崩れない。葵の復讐は静かに、確かに始まる。奪われたのは、アイデアだけではなかった。自分の声で語る権利、夢を自分のものと言える権利、それを13年かけて取り戻す物語。 ブライダル業界を舞台に描く、女性たちの信頼と裏切り。そして、誰かの言葉ではなく、自分の言葉で立つまでの記録。

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カクヨム
カクヨム2026/03/10
  • 現在の作品花嫁を泣かせたい