あらすじ
天才調香師・琴音のアトリエを訪れたのは、絶望の淵にいる老犬レオ。
主人の急逝以来、レオは「主人の匂い」だけを求め、世界に対して鼻を閉ざしていた。
琴音が手に取ったのは、主人の遺品。
そこから抽出したのは、洗練された香水とは真逆の、汗の熱や金属の錆び、生活の泥臭さ……かつての彼女が切り捨ててきた「不純物」だった。
「待ってて、パパを今から連れてきてあげる」
それは、0.01mgの誤差も許さない科学を超えた、愛の調合。100%の再現液では届かない、魂を救う「101%目の匂い」が、一匹の犬に最期の奇跡をもたらす。