あらすじ
むかしむかし――ではないが、
昭和の空気が残る蕎麦屋「当たり屋」。
蕎麦は香りを味わうもの。
余計な具など邪道だと信じる頑固な親父がいた。
そんな店で密かに囁かれているのは、
トッピング達の不満話。
きつね、月見、かき揚げ、そして――コロッケ。
ある日、常連の中島さんが注文したのは
親父が一番嫌いな「コロッケ蕎麦」。
渋々丼に乗せたその瞬間、
コロッケがぷるっと震えて言った。
「また、おめいか!」
出汁に沈むコロッケと頑固親父。
そして何も気づかない常連客。
食べ物が喋る、不思議な蕎麦屋の
ゆるくて奇妙な瑞希童話。