あらすじ
単焦点で50mm.シリーズ、前作「君の二十歳の誕生日」から半年後の話です。
* * *
大学三回生になった草壁一彦は、理学部の研究室で顕微鏡アートのとりこになっている。恋人の白川健太との交際も三年目を迎え、順調そのもの。
そんなある日、母から「お父さんの回顧展を見に来ないか」と誘われた。
亡き父は国際報道カメラマンだった。一彦の気持ちは揺れる。
父の死後、父が撮った報道写真をほとんど見たことがなかった。
でも今なら向きあえるかもしれない。そう淡く期待して回顧展を見に行った。
しかし父が遺した作品には、一彦のちっぽけな自意識など打ちのめすような凄みがあった。父が撮った世界に比べて、自分がいいと信じていた世界はあまりにも小さくて、幼い。
「自分らしさ」とは何なのか見失い、自信をなくす一彦。
白川にも自己中心的なやつあたりをしてしまう。
「そんなふうにハグしないで。自分が……子どもで、健太さんは大人って……思い知らされるから」
しかし白川は優しく受け止めた。
一彦の話をすべて聞いて、ある提案をしてくれる。
「お父さんの写真、他には残ってないのかな? 一彦がまだ知らないお父さんの世界があるかもしれない」
父の死後、写真や遺品はすべて母が処分してしまったものと勝手に思い込んでいたが、そうではなかった。
一彦はある場所で、もう一度父の写真と向きあう。
父が撮った意外な写真に、一彦が見出したのは――。
* * *
理系大学生&高校の先生の静かなリバBL「単焦点シリーズ」三部作、完結編です。
本作では、一彦は白川に支えてもらいながら、亡き父の作品や母と向きあいます。そしてまた一段、大人の階段を上ります。
一彦と白川が生きる「小さくて素晴らしい世界」をご一緒に見届けていただけたら嬉しいです。
こちらの作品だけでも独立してお読みいただけますが、スピンオフ作品に登場した天野君(「夜の海で泳ぐ」主人公)も大学の友人として登場します。もし天野君知ってるよ~!って方がいらしたら、お楽しみに…あいかわらず太陽みたいに元気だよ^^
※今回も、もちろんリバBLです!!リバというより「お尻でハグする、色気マシマシの白川先生」って感じかも…どうぞお読みください。