あらすじ
「紅い月が出る晩は、外に出てはいけない。蟲に喰われてしまうから」
母から耳に蛸ができるほど聞かされてきた奇妙な言い伝え。しかし、大学生の八雲穂乃花(やくも ほのか)は、その禁忌を破ってしまう。
大学とバイト先と、自宅。息苦しい日常を送る穂乃花は、紅い満月の夜、路地裏で干からびていた「不気味な蟲」に同情し、水を与えてしまう。
直後、彼女を強引に抱きすくめたのは、濡羽色の髪と鮮血の瞳を持つ美しい男・祝部朔(ほふりべ さく)だった。
「――やっと見つけた」
穂乃花の体内には言い伝えの通り、蟲が寄生していた。
内側から内臓を喰い破られるような激痛と、異常な高熱。
助かる方法はただ一つ、猛毒にして甘露である「朔の血」を飲み下し、体内の蟲を休眠させること。
「ほら、俺の血だよ。これがないと生きていけないもんな?」
祝部朔は、味方なのか。
記紀神話をベースにした、因習ホラー・ラブストーリー。