あらすじ
「エルナ・アシュベルク。お前との婚約を、今この場を以て破棄させてもらう」
大夜会の真っ只中、王太子ジギスムントから告げられた非情な宣告。
周囲の嘲笑、聖女候補という地位の剥奪、そして行き場を失った絶望。
泥にまみれ、膝をつく私を救い上げたのは――かつて私を厳しく突き放していたはずの義兄、レオンハルトだった。
冷徹な獅子公爵として恐れられる彼が、見たこともないほど冥い熱を帯びた瞳で私を抱きしめる。そこで明かされたのは、十数年前のあの日、孤児院で私をさらった時から始まっていた、お兄様の狂おしいほどの執着だった。
「……もう離さない。たとえお前が泣いて許しを請うたとしても、地獄まで引きずり込んでやる」