あらすじ
中学2年生の陽葵(ひまり)は、大学生の家庭教師、湊(みなと)に恋をしていた。彼が隣に座る距離、ノートに残る丸い筆跡、そして微かなミントの匂い。
しかし、湊にとって陽葵はどこまでも「教え子」でしかなかった。
背伸びをしたい陽葵に対し、彼は「そのままでいい」と微笑む。その優しさは、彼女を「子供」という檻に閉じ込める、残酷な拒絶だった。
一緒に行った夏祭りを経て、想いを告げた陽葵に返ってきたのは、誠実で決定的な「ごめん」。
さらに湊は、大学の都合で家庭教師を辞めることを告げる。
迎えた最後の授業。湊は去り際に「きっと、そのままで」という未完成な言葉を残して去っていく。
初恋は、絶望とともに終わりを告げた。
それでも陽葵は、彼がいなくなった真っ白なノートに、自分だけの「続き」を書き始める。
これは、少女の世界がほんの少し広がる話。