あらすじ

「私」と「彼」は友人であります。彼にとっては、恐らく唯一の。彼は友人が少ないものですから、いつも私と駄弁っていました。時には喫茶店、時には大学の食堂、時には帰り道などで。  「私」と「彼」は家が近かったものですから、大学の帰り道でよく一緒に駄弁ったものです。  「彼」は難儀な性格をしていました。不器用で鈍感で、それでいて変に優しく。コミュ障というやつでしょうか、兎に角、喋りが下手な人でした。しかし、「私」は「彼」のそういう所が好きでした。  恋……というやつとはちょいと違う、人間として好き、と言うやつですかね。「私」は恋とやらをしたことがありませんから、その感情のことがよく分かっていません。「私」もまた、不器用な人間ですから。  そんな「私」が「彼」を好いている一方で、「彼」自身は孤独を感じていたようです。「私」でも、そのことだけは分かっていたつもりです。  人に対して、どこか一歩引いた様な距離感で接してしまう「彼」は、その難儀な性格ゆえか、悩みを抱え込み、自己矛盾に陥りがちな人でした。  「彼」は、そんな自らの人生そのものに悩んでいたのかも知れません。  ある春の夜、「彼」は首を括って死にました。  「彼」は、悩みを自らの内に溜め込んでしまう人でした。  「私」は「彼」の唯一の友人でありながら、「彼」の心を救ってやる事が出来ませんでした。  「私」が「彼」の遺した手紙を読むことで、このお話は始まります。 「私」が、「彼」の死をきっかけに、自身の記憶を追いながら、だんだんと「彼」を知っていく。そういうお話です。

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カクヨム
カクヨム2026/03/09
  • 現在の作品春風吹けば桜散る