あらすじ
「お前のその声、俺の推しに似てるんだ」
音無凛は、クラスで「空気」として扱われる地味な少女。度入りの厚いメガネで存在感を消し、誰にも期待されず一日をやり過ごしていた。しかし彼女には、夜の顔がある。圧倒的な歌唱力で百万人のファンを魅了する、正体不明の覆面歌い手「ルナ」。一方、学校一のモテ男・瀬戸蓮は、誰も寄せ付けないクールな王子様。だが、彼には「ルナの重すぎる限界オタク」という隠された素顔があった。接点ゼロの二人は、放課後の音楽室で漏れた「ある鼻歌」をきっかけに、運命を狂わせていく。
正体に疑念を持つ瀬戸の、執拗なまでの執着が始まった。正体を隠し通して平穏を守りたい凛と、推しの影を追いながら凛自身の「声」に狂わされていく瀬戸。放課後の密室練習、イヤホンの共有、そして彼女を妬む者たちが仕掛ける最悪の罠。文化祭のステージで凛が「偽物」として吊るし上げられたとき、隠し続けてきた二人の秘密は、全校生徒を絶叫させる巨大なカタルシスへと変貌する。
嘘を重ねる歌姫と、真実を求める狂信者。最後に世界が耳にするのは、どちらの声か。
――二人の歪なデュエットの幕が、今上がる。