あらすじ
「ジェーン・ドゥ」――それは突如として美術界へと現れた正体不明の画家である。
まるで、命の欠片を燃やして描いているかのように見るものの感情が激しく揺さぶられる儚くも美しい繊細さを持つ絵。収集家の集まるオークションでは毎度、大きな屋敷を買える程の金額になるという。
だが、彼女にとってそんなものには興味が無い。
「私には描けない…。ごめんなさい、ごめんなさい……」
「ジェーン・ドゥ」、彼女の作品に描かれる人物は決まって、とても美しい1人の男だった。観客は皆、花に群がる蝶のように彼に惹き付けられ、やがて死んでいく。
今日も私は彼を描く。あの人への贖罪のために――
これは、決して救われることのない地獄で自罰的に絵を描き続ける1人の少女の話である。