あらすじ
私、冬空朔の現実は、ひどく冷たくて空っぽだ。
過去のトラウマから「絶対に壊れない本物の愛」を恐れ、誰とも関わらずに透明人間として生きてきた。
しかし、二学期の初日。
転校生の夏目陽向と目が合った瞬間、私の世界はバグを起こす。
『十年前の夏祭り、迷子になって泣く彼女の手を引いた』
――そんな、絶対に存在しないはずの
記憶(ノイズ)が脳内に溢れ出したのだ。
「……ずっと、会いたかった!」
初対面のはずの陽向は、大粒の涙を流して私に抱きついてきた。
異常はそれだけでは終わらない。
隣の席の図書委員、不良の同級生……。
彼女たちとも目が合うたび、
都合の良い「偽物の過去」が捏造されていく。
幼馴染、元カノ、魂の相棒。
存在しない記憶を盾に、空っぽな私を
奪い合う少女たちの狂気的なごっこ遊び。
私はそれを「偽物だから安全だ」と
嘲笑いながら、火傷するような熱狂的な
愛に自ら溺れていく。
だが、嘘を真実にしようと泥臭く足掻く彼女たちの愛は、やがて本物を凌駕するほどの熱を持ち始め……。
次に目を明けた時。
瞳に映るあなたは本物ですか?
――存在しない記憶から始まる、狂おしくも美しい百合ラブコメディ!