あらすじ
玲編あらすじ2
天才女優として活躍する白崎玲は、完璧な演技力と引き換えに自分自身の感情を押し殺して生きていた。幼い頃、両親の不和によって家庭は崩壊し、玲は母に引き取られる。しかし母は次第に玲に金を無心するようになり、玲は「才能で生きなければ価値がない」という思い込みの中で女優として成功していく。
二十四歳、恋人であるプロバスケットボール選手・秋との婚約を機に、玲は初めて人生を変えようとする。だがその直後、金銭を巡る争いの末に母に刺されるという事件が起きる。命は取り留めたものの、玲は自分のために涙を流す秋の姿を見た瞬間、初めて自分が誰かを傷つけて生きてきたことに気づき、心が完全に崩れてしまう。
意識を失った玲が迷い込んだのは、自身の記憶と感情が形を取った異世界だった。そこでは母は魔女として現れ、幼い自分自身は牢に囚われていた。玲は魔女と戦いながら、才能という仮面の裏に閉じ込めてきた痛みと向き合い、やがて母との因縁を断ち切る。
現実世界へ戻った玲を待っていたのは、入院と治療による長い回復の時間だった。演技という虚構に縛られてきた自分の人生を見つめ直す中で、玲は次第に「生きること」と「愛すること」を自分の意志で選び直していく。そして再び演技に向き合う決意をした玲のそばには、変わらず静かに待ち続けていた秋の姿があった。
虚構の中で生きてきた女優は、過去の痛みも才能もすべて抱えたまま、愛する人と共に現実の人生を歩き始める。