あらすじ
十歳で両親を失い、その命の対価である保険金「一億円」を背負った少年・徹(とおる)。 彼は毎夜、血を吐くような孤独の中で相場の怪物と死闘を繰り広げ、自己資本を六億円弱にまで増殖させた冷徹な凄腕スイングトレーダーである。
彼が通う名門・渋谷代々木学園。その「絶対零度の防壁」は、一人の狂気的な少女の参入(エントリー)によって呆気なく崩れ去る。
瀬戸内陽葵(せとうち・ひまり)。 中学時代、路地裏で徹に救われた彼女は、彼を狂信的に愛するがゆえに、睡眠を削り、偏差値の絶望的な深淵を越えて同じ学園へと編入してきた予測不能な「特異点」。 彼女は徹のすべてを独占するため、投資の知識を脳髄にインストールし、五百万円の実弾(キャッシュ)と自らの存在すべてを証拠金(マージン)として、彼に『敵対的TOB(株式公開買付)』を仕掛けてくる。
さらに、法曹界の闇からインサイダー情報を引き出し、徹の「ヘッジ資産」として共犯関係を結ぶ氷の狙撃手・氷室涼香。
野性の直観だけで相場の波に寄生(パラサイト)する獣・獅子堂玲奈。
「俺の相場(マーケット)にノイズは要らない。……だが、俺に波を立てたいなら、限界突破のレバレッジを見せてみろ」
これは、極北の冷気を纏う市場の支配者(マーケット・メーカー)と、彼を買い占めんとする美しき捕食者たちによる、血で血を洗う投資と狂気の物語。 投資のプロトコルが交錯する夜、少女たちの理性が限界温度を超えてドロドロに溶け落ちる(ストップ高)――極限の心理戦と背徳の金融サイコラブストーリー、開幕。
※本作には、投資・金融用語を用いた独特の精神的陶酔・独占欲の描写(R15相当)が含まれます。