あらすじ
新宿三丁目、雑居ビルの七階。看板のない事務所に、今日も誰かがやって来る。
「死にたいんです」
九条誠はコーヒーも出さずに、向かいの椅子を示す。「座ってください。感情は後回しにして、まずファクトだけ話してください」
元マッキンゼーのコンサルタントが営む、非公開の仕事。クライアントの「死」というプロジェクトを精査し、採算が取れないと判断したら、却下する。それだけだ。
哀れみは出さない。涙も流さない。ただ、ホワイトボードに図を描いて、人間の構造を解剖していく。
しかし彼の過去は、誰も知らない。そして、一人の刑事が彼の名前を追っている。