あらすじ
才能を売買できるオークションサイトが当たり前になった近未来。
ピアノの才能、三億円。数学の才能、五億円。カリスマ性、七億円。
平凡な会社員・田中が酔った勢いでポチった「一番安い才能」は——九百八十円。
届いたのは、「人の話を最後まで聞ける才能」。
そんなもの、才能って言うか? ただのマナーだろ——。
馬鹿にした。だが、この九百八十円が、他のどの才能よりも彼の人生を変えていく。
そして、出品者が残したたった一行の追伸が、田中の胸を貫く——。
「四十年間、人の話を聞いてきましたが、私の話を聞いてくれる人は、一人もいませんでした」
一番安い才能が、一番貴重だった。
シニカルで温かいSF短編。