あらすじ
「今日は、彩花の二十歳の誕生日だ」
ぼくは、特盛の牛丼とおでんを買い込み、一人で彼女の帰りを待っていた。しかし、どれほど時間を重ねても彼女からの返信はなく、電話は無機質な圏外のアナウンスを繰り返すだけ。
孤独な静寂を破って現れたのは、恋人ではなく、スナックで働きながらダメンズとの縁を切れない奔放な姉・美咲だった。酒の香りと安っぽい香水を纏い、派手なミニスカートから真っ赤なレースを覗かせる彼女は、寒さを言い訳にぼくの隣でコタツへと潜り込んでくる。
「悠真くん、コタツのお布団に手を入れてみてよ」
氷のように冷たい指先、網タイツのざらついた感触、そして妹の彼氏を「つまみ食い」しようとする悪戯な微笑み。理学部で世界の法則を学んできたはずのぼくの理性は、コタツという名の密室が醸し出す湿度に、脆くも崩れ去っていく。
外では激しい冬の嵐が吹き荒れ、落雷が夜を切り裂く。恐怖に震えるふりをしてしがみついてくる美咲の熱を、ぼくは拒むことができない。
「ダメだ」と叫ぶ心とは裏腹に、コタツの中で深く絡み合っていく四本の足。
彼女に捧げるはずだった聖なる夜は、彼女の姉との戻れない過ちへと塗り替えられていく――。