あらすじ

メーレスブルクの暗路――ポンス・アルタエ あらすじ マルクハイム王国とドラグ王国の国境に位置するメーレスブルク辺境伯領。アルタエ海峡を挟んでストラントライヒ王国と対峙するこの地は、大陸を縦断する人工水路フライエルカナルの要衝でもある。 元騎士団長のゲオルグは、領内の漂流物を持ち去った罪により騎士号を剥奪された。城を去ろうとした矢先、辺境伯夫人テレジアに呼び出される。 テレジアの密命はただ一つ。カナルの中間点に位置するミッテルブリュッケまで赴き、古代アルタ帝国が残したとされるキーストーン――橋の真名が刻まれた碑文――を探し出すことだった。 同行するのはマルクハイムから派遣された若い女性学者ヒルデ。小柄で眼鏡をかけた彼女は子供に間違われることを静かに怒りながら、誰よりも鋭く世界を見ていた。 二人はカナルを下り、ドラグ王国の駐留艦隊が睨みを利かせるゼートアを経てブリュッケへと向かう。道中で目にしたのは水位低下に苦しむ農村、座礁するドラグの輸送船、そして水門の柱に晒された農民の首だった。戦争はまだ始まっていない。しかし状況はすでに最悪だった。 ブリュッケに辿り着いた二人を待っていたのは、四十年前に水底で碑文を見たという奇妙な老人オットーと、戦線を離脱した元ドラグ方面軍の騎士エーリックだった。 橋の真名を知る者が橋を制する。橋を制する者がカナルを制する。古代帝国の法が今も生きているこの世界で、一枚の蝋板が大陸の均衡を揺るがす鍵となる。 そしてメーレスブルクに持ち帰られた碑文の写しと、波打ち際で拾われた謎の遺物は、辺境伯夫人テレジアに何かを決意させた。 城の窓辺で、ランプの光の中、羽根ペンが動き始めた。

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小説を読もう2026/03/08
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