あらすじ
王宮随一の鑑定士、アイリス(四十歳)。彼女の仕事は、古き遺物の真贋とともに、そこに宿る持ち主の「虚飾」や「執着」をも暴き出すことだ 。
ある夜、彼女のもとに現れたのは、かつてアイリスの初恋を無残に裏切り、親友と結婚した元英雄・ゼノンだった 。
酒と自己憐憫にまみれ、変わり果てた姿で「助けてくれ」と縋る男 。そして、若さと美貌への執着から禁忌の薬に溺れ、自滅していく元親友のミラ 。
二十年の歳月を経て再会した三人の運命。アイリスが下す、冷徹で慈悲なき「鑑定」の結末とは――。
捨てたはずの恋心が腐敗し、毒へと変わる時、女は真の自立と静寂を手にする。