あらすじ
公爵令嬢ティリアは王国随一の薬師。領地の薬草園を守り、宮廷の調薬を一手に担ってきた。
だが婚約者クラウスは新しい女に唆され、こう言い放った。
「その薬草は毒かもしれぬ。お前の調合は信用できん」
追放されたティリアが辿り着いたのは、病に苦しむ辺境の領地。
飄々とした若き領主ルシアンは彼女の腕を即座に見抜き、領民の治療を託す。
だがルシアンの体には、母から受け継いだ「銀花毒」が静かに巣食っていた——
通常の医術では解けない慢性の魔毒を。
一方、ティリアが去った王都の薬草園は、薬師の魔力を失い枯れ始める。
折しも疫病が領地を襲い、新しい薬師は何一つ対処できない。
「戻ってこい」——そう言われた時、彼女は微笑んでこう答えた。
「その薬草園は、もう枯れていますわ」