あらすじ
民俗学のレポートのため、
俺は山奥にある小さな祭りを見に行った。
名前は――
「おまつりむら」
観光パンフレットにはそう書いてあったが、
地図にもネットにも、その村の名前は出てこない。
それでも祭りは確かに存在した。
赤い提灯。
同じ柄の浴衣を着た村人たち。
そして、俺の名前を最初から知っている住民たち。
夜になり、祭りが始まる。
太鼓が鳴り、踊りが始まり、
村人たちは言った。
「今年も外から来てくれたね」
「これで祭りができる」
やがて広場の中央に運ばれてきたのは、
札だらけの大きな甕だった。