あらすじ
『パラオ・ブルーに溶けるまで』
耳の奥で鳴り止まない
「どうせ私なんか」という
冷たく乾いた 雨の音を振り切って
私は 境界線を越えた
日本の真南 時差のない楽園
パスポートに刻まれた 青い誓い(プレッジ)
自分自身を 守れなかった指先が
未来を壊さないと 震えながら約束する
ミルキーウェイの泥で 自分を隠し
沈没船の傷跡に 命の芽吹きを見る
「傷があるから 終わりじゃない」
ぶっきらぼうな声が 深い海の底から
私の輪郭を なぞりなおす
毒を捨てた クラゲの群れの中で
無防備なままに 浮かんでみた
強くなれない この弱さは
誰かを傷つけないための 優しさだったのだと
ようやく 一雫の涙が溶けていく
満ちては消える ロングビーチの道
何度でも やり直していいと言われた
「どうせ私なんか」が 潮風にさらわれ
「だからこそ私は」が 波打ち際に芽生える
細かすぎる視線も 臆病な手のひらも
誰かを救う 祈りに変わる
パラオ・ブルー この透明な鏡を胸に
私はもう一度 私の物語を
東京の空へと 連れて帰る