あらすじ
「死者は嘘を吐かねぇ。汚ねぇのは、いつだって生きてる人間だ。」
物語の舞台は、いよいよ幕府の屋台骨が軋み始めた天保年間。改革に揺れる江戸の街。江戸・八丁堀の片隅に診療所を構え、人情厚い名医として慕われる一方で、「おろく医者」と揶揄されている医者がいた。
その名は、高柳凌雲。鳴滝塾出身の有能な蘭学者だが、蘭学弾圧事件により身を隠すように一介の町医者として慎ましく暮らしている。そんな凌雲を頼るのは、治安を守る町奉行所。凌雲には死者の声を聞き、事件を見届ける検使役と言うもう一つの顔があった。
凌雲が請け負うのは、目を背けたくなる凄惨な死骸や奇怪な事件ばかり。だが凌雲は「上医は国を医す」と言う信念から、自ら進んで事件解決に奔走。綿密な調査の末に浮き彫りになる諸悪の根源を相手に、凌雲はメスを剣に持ち替え真っ向から立ち向かう。
しかし凌雲が戦っているのは事件だけではない。己の運命とも戦っている。今は昔、御台所の附女中として仕える下級医官の娘に、先代の将軍の手が付いて産まれた子と言う重大な秘密を秘めているのだ。弾圧事件で存在が露見した今、爆の監視下に置かれながら、縁の下の力持ちとして兄たる当代の将軍を影ながら支える、それが凌雲に課せられた宿命なのだ。
献身的に支える恩師の娘や兄弟同然の幼馴染、そして、北町与力ら江戸の仲間たちと共に、凌雲は鳴滝塾仕込みの医学と破邪の一刀「音無しの剣」を武器に巨大な陰謀へと立ち向かう。
医学か、毒か。救済か、復讐か。白頭巾を翻し、暗部を照らす凌雲のメスが、江戸を蝕む絶望を切り裂く!
時代小説の枠を超えた、圧倒的スケールの医療ミステリー&痛快娯楽時代劇、ここに開幕!
※小説家になろう併催。「幽世ノ華~大江戸検死官事件帳」改編、改題作品。