あらすじ
小綿紡希。
十歳。十歳である他は、とりたて特徴のないその少女。
膨らんだほっぺた。見つめた相手がそのまま映る水面色の澄みきった瞳。
国語の音読も、九九も、足取りも視線もいつもどこかおぼつかなく、ランドセルはいつも傾いている孤独の少女。
彼女は、死に魅入られていた。
死者を愛し、死者に望まれている少女は、誰そ彼れ時に誰かを背負う。
彼女と出会った少年は、彼女の後ろの正面にいる誰かに問う。
貴方は誰か、と。
東北地方に色濃く残る口寄せ巫女・オシラサマ伝承。
これは、ナきモのを寄せる少女・小綿紡希と、ナきモのたちの物語。
紡希に寄るのは、この世から忘れ去られた儚いモのたち。
縊死の女、路傍の花、廃屋の思い出、忘れられた仏壇、置き去りにされた傘。
儚き、墓無き、はか泣き、佩かな鬼。
これは少女によって、ナきモノたちの声を聞く物語。
そして、死によって生を得る物語だ。
※カクヨムとの二重掲載作品です。