あらすじ
山奥の閉ざされた村で育った少女・澪《みお》は、幼いころからある言葉を教え込まれてきた。
『件《くだん》様の予言は絶対』
この村には、牛の体に人の顔を持つ妖怪――件様の伝承が残っている。
件様は災いを予言し、その言葉を残して死ぬという存在であり、村人たちは代々その言葉に従って生きてきた。
十七歳になった澪は、初めて件様の予言を伝える集会への参加を許される。
そこで村長が告げたのは、半年後に村へ疫病が訪れるという予言だった。
そして、その災いを防ぐ方法として――
「村から一人、命を捧げよ」
という言葉が告げられ、澪の妹が生贄に抜擢されてしまう。
村人たちはそれを当然のことのように受け入れていた。
件様の予言は絶対だからだ。
だが妹の死後、澪は山道で奇妙な男と出会う。
牛の頭をした男だった。
そして男は、澪に向かって静かに言う。
「私はくだんでございます」
村が信じてきた予言。
生贄として捧げられてきた命。
そして件様の正体。
閉ざされた村の信仰の裏に隠された、恐ろしい真実が少しずつ明らかになっていく。