あらすじ
世界の縁が瘴気に蝕まれる「黄昏辺境区」。魔物との死闘が日常である終焉の灯修道院で鉄槌を振るう下級浄士のカエルムは、今日もただ実直に前線に立ち、まずい配給食を腹に詰め込んでいた。
ある日、修道院に中央から類まれな力を持つ若き聖者・ヴィレアが赴任してくる。 広域結界を一人で支えるほどの規格外の力を持つ彼だったが、実は特殊な生い立ちゆえに「自らの杖が流す樹液と、聖水しか口にできない」という過酷な体質を抱えており、人知れず孤独な生活を送っていた。
接点などないはずの二人だったが、カエルムが日課の「聖別(浄化と祈りの儀式)」を施した代用聖水をヴィレアが口にしたことで、事態は一変する。 なんと、カエルムの無自覚に規格外な聖別を受けた物だけは、ヴィレアも普通の食事として味わうことができたのだ。
「聖別をお願いしてもよいですか」 以来、18年間まともな食事を知らなかった聖者は、カエルムの隣に居座り、様々な食材を持ち込んでは「初めての食事」を楽しむようになる。