あらすじ
馬村ありん様の自主企画<【偽KAC20261】【お題「血」】~偽カクヨム・アニバーサリー・チャンピオンシップ 2026~>参加作品
庭石に響いた、熟した果実が落ちるような湿った音。
あの秋の日、兄さんは死んだ。わたしの身代わりになって。
それから毎年、柘榴が実る季節になると、死んだはずの兄・祥吾が現れる。
返り血のような果汁を口元に滲ませ、彼は優しく微笑む。
「気にするな」
その言葉は救いか、それとも呪いか。
頬に残る、血のように赤い痣を撫でながら、わたしは「あの日」から逃れられない。