あらすじ

霧深き江戸の山奥、ひとりの少女が古びた寺で暮らしている。彼女の名はカグラ——両親の記憶も、本当の名前も、寺の外にあった過去も、何ひとつ覚えていない。彼女の務めは、魂を得て物の怪と化した「付喪神」を浄化することだった。 ある日、旅の行商人が呪われた鈴を持ち込む。それは彼女の名を囁く鈴だった。その瞬間、カグラは気づく——自分には特別な力があると。霊をただ祓うのではなく、彼らの記憶を「目撃」し、その悲しみを感じ取り、忘れ去られた名を取り戻させることができるのだ。 だが、闇には彼女を見つめる者がいた。「影蒐集家」——解放された霊たちを追い、自らの秘めた蒐集に加える存在。そして、ひとりの浪人が迷い込む。アオ。その剣は使い手の記憶を喰らう呪われた刀だった。彼はなぜかカグラの道を離れられない。 村から村へ、寂しき道を歩むうちに、カグラは薄々気づき始める——自分が浄化する霊たちの中に、自分の過去が織り込まれているのではないかと。記憶の中で見る顔は、どこか自分に似ている。森の先には、彼女が生涯避けてきた問いを突きつける真実が待っている。 ——私とは、いったい誰なのだろう。

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エブリスタ
エブリスタ2026/03/05
  • 現在の作品付喪神の影