あらすじ
七重優希は、自分の名前が嫌いだった。
その名前を、ただ一人だけ。
祥太だけが好きだと言った。
中学時代の淡い、不完全な初恋。
恋人同士なのに、恋人になれなかった奇妙な関係。
やがて二人は別れる。
優希は医師になり、祥太は記憶の中の存在になった。
それから25年後。
日常に埋没したはずの“初恋”が再び名前を呼ぶ。
――優希。
背後に立つはずのない男。
記憶の中と同じ声。
そして、変わらない姿。
それは幻覚なのか、記憶の再生なのか。
それとも――?
彼は囁く。
「……。……世界で誰より俺を愛して」
愛した記憶は本当に“過去”なのか?
消えない名前に殺される、そんな物語。