あらすじ
「魔力を持たぬ無能な女に、この国の盾たる王妃の資格はない。貴様との婚約を、今この場をもって破棄する!」
豪華な夜会の中心、第一王子カイルの怒声が響き渡る。
魔力こそが正義の国で、測定値『ゼロ』を叩き出したエスメリアは、王子の隣に不釣り合いなゴミとして、周囲から蔑まれていた。
しかし、エスメリアは完璧な、そして事務的な一礼を返した。
「あらよかった。ちょうど、こちらから申し上げようと思っておりましたの」
彼女は淡々と、今まで王子に個人的な献身として無償で行ってきた、国を守る結界の保守・運用・最適化の全契約を破棄すると宣言する。
「殿下には理解の及ばぬ領域かと存じます。……では、さようなら」
エスメリアが去った瞬間、王子の魔力は制御を失い、結界はブレーキの壊れた暴走車へと変貌する。
実家のアストレア公爵家からも除籍され、一人歩み出したエスメリアを待っていたのは、神殿の頂点に立つ美貌の大司教ロクレアスだった。
「さあ、始めよう。無能な力に支配された、この愚かな国を書き換える作業を」
知性の共犯者となった二人は、歪んだ王家を、そしてエスメリアを見捨てた実家を、冷徹な損益計算のもとに追い詰めていく。
「殿下の力は、今日からこの国の『公共資源』となっていただきます」
魔力ゼロの「特異点」が、数式一つで国家を再起動させる、至高の逆転劇!