あらすじ
舞台は近未来。国家AIに統治された都市では、人々の幸福を保つために「不都合な記録」が改ざんされていた。市民はその事実を知らされず、虚構を真実として受け入れている。
高校生の結城春斗は、心の支えだったボカロP“K”の曲『リライト・オーバーライト』が、いつの間にかアイドル・星彩ユメの国民的ヒット曲として存在していることに気づく。検索結果もDMも会話も「最初からそうだった」形に揃っていた。やがて親友・鈴木航平が存在ごと世界から消え、街のどこでも『リライト・オーバーライト』が環境BGMとして流れるようになる。そして、春斗と転校生の木更津愛だけがその違和感を感じ取っていた。並行して、少年皇帝シオンと皇女アリヤも、絵や侍女がいなかったことになる異変に怯え、全てを操る宰相ルチアの監視を感じていた。
建国記念日にシオンとアリヤは高校へ視察に来る。春斗は案内役に抜擢され、そこでアリヤと自分の婚約話があることを知る。アリヤが婚約を拒む言葉を吐いた瞬間、甲高い警報音とフリーズが走り、春斗たちは婚約話をしていないことになっていた。そして、会話が上書きされていることに気づいたのは春斗・シオン・アリヤだけだった。三人は言葉を封じ、視線と仕草で合図しながら真相を探る。
やがて漏れ聞こえる本来の『リライト・オーバーライト』の歌声に導かれ、春斗は王宮の禁域へ辿り着く。そこには式典や視察の採用稿・前稿、人や楽曲までがケースに保管され、春斗は現実が改稿で運用されていることを知る。現れたルチアは、国家AIは幸福だけでなく物語の整合性を守る編集者だと告げる。春斗がこの世界を拒絶すると「この原稿は失敗」とルチアが言い、再改稿が走って彼は建国記念日の十二日前の教室へ戻される。
すべてが滑らかに整う中、再び転校生として隣の席に座った木更津が「次は、もっとうまくやらなきゃ」と囁き、春斗は再びこの世界の違和感に気づく。そして、終わらない上書きの物語が改めて動き出す。