あらすじ
王立学園の卒業舞踏会。
公爵令息アドリアン・ジオニックは、平民の少女を連れて現れ、堂々と言い放った。
「身分など関係ない。彼女こそ、私の真実の愛だ」
だがその一方で、彼は平民や下級貴族を露骨に見下し、使用人を人間扱いすらしない傲慢な人物だった。
そんな彼の振る舞いに違和感を抱いたのは、王宮図書室に通う地味な令嬢アウレリア。
古文書や家系記録を研究する彼女の正体は、王国の貴族制度を守るために存在する一族――系譜検察官の家系の娘だった。
「公爵家にしては……家系が妙です」
調査を進めるアウレリアは、やがて驚くべき事実に辿り着く。
――その公爵家の家系図は、偽造されたものだった。
王宮舞踏会での公開の場。
提出された調査報告書により、王命が下る。
爵位剥奪。
財産没収。
そして貴族身分の完全剥奪。
貴族を名乗り、平民を見下していた男に突きつけられる残酷な真実。
「私は貴族だ!」
叫ぶ元公爵令息に、アウレリアは静かに告げる。
「いいえ。あなたは――ただの平民です」
平民を人間扱いしなかった男が、自らも平民だったと知るとき。
王国史に残る、最も皮肉なざまぁ事件が幕を開ける。