あらすじ
平凡な会社員だった桐生誠一は、ある日コンビニで見かけたトレーディングカードの「高額取引」を知り、転売の世界に足を踏み入れる。カード一枚が数万円で売れる世界に魅了された彼は、やがて仕事を辞め、発売日には店に並び、箱買いと買い占めを繰り返す転売生活を始めた。
最初は順調だった。相場を読み、カードを寝かせ、タイミングを見て売る。月収は百万円を超え、誠一は「努力しているだけだ」と豪語しながら札束をSNSに載せ、成功者気取りで日々を過ごしていた。
しかし、その繁栄は長くは続かなかった。カード会社の大量再販と転売対策により、カードの価格は一夜にして暴落。誠一の部屋には、七百万円分の在庫が詰まった段ボールだけが残った。
数ヶ月後、彼はコンビニでアルバイトをしていた。レジ横でカードを買い、無邪気に喜ぶ子供を見て、ようやく気づく。
それは「儲けるための紙」ではなく、
本当は「遊ぶためのカード」だったのだと。
欲望の果てに転落した男の、少しだけ遅い再出発の物語。