あらすじ

平凡な会社員だった桐生誠一は、ある日コンビニで見かけたトレーディングカードの「高額取引」を知り、転売の世界に足を踏み入れる。カード一枚が数万円で売れる世界に魅了された彼は、やがて仕事を辞め、発売日には店に並び、箱買いと買い占めを繰り返す転売生活を始めた。 最初は順調だった。相場を読み、カードを寝かせ、タイミングを見て売る。月収は百万円を超え、誠一は「努力しているだけだ」と豪語しながら札束をSNSに載せ、成功者気取りで日々を過ごしていた。 しかし、その繁栄は長くは続かなかった。カード会社の大量再販と転売対策により、カードの価格は一夜にして暴落。誠一の部屋には、七百万円分の在庫が詰まった段ボールだけが残った。 数ヶ月後、彼はコンビニでアルバイトをしていた。レジ横でカードを買い、無邪気に喜ぶ子供を見て、ようやく気づく。 それは「儲けるための紙」ではなく、 本当は「遊ぶためのカード」だったのだと。 欲望の果てに転落した男の、少しだけ遅い再出発の物語。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2026/03/06
  • 現在の作品紙の王様、段ボールの王国