あらすじ
都内のタワーマンションに住み、外資系IT企業で働くシステムエンジニア・隆史。
仕事も家庭も順調で、三人の息子と穏やかな日常を送っている。
ただ一つの問題を除いて。
――毎晩、同じ夢を見る。
白い霧。
吹き荒れる風。
そして、雪の中を歩き続ける男たち。
最初は断片的な悪夢だった。
だが日を追うごとに夢はつながり始め、やがて隆史は夢の中で「自分が誰なのか」を理解するようになる。
現実では真夏。
しかし隆史の体には、夢の中の異常な寒さが残り続けていた。
足の裏に残る、冷たい雪の感触。
耳の奥に残る、風のうなる音。
やがて隆史は気づき始める。
――あの夢は、本当に夢なのか?
そして家族旅行で訪れた北の山の資料館で、
隆史は「ある写真」を見つける。
そこに写っていた男は、
なぜか自分に、よく似ていた。
これは悪夢なのか。
それとも、現実の方が夢だったのか。
静かな日常が、少しずつ凍りついていく。