あらすじ
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その日目覚めたユスティーナは、顔も名前も知らない男に恋をした。
無遠慮に触れる指。暴くように咥内を探る舌。甘く熱をもたらす吐息に言葉。
何もわからないまま、身体を高められ、寝て、起きてはまた探られる。
それでも嫌だと思えないのは、きっと私が彼に恋をしているから――。
起き上がれるようになったユスティーナは、自分の過去をなにも知らないことに気がづいた。
いつからここにいるのか、どうしてこの人といるのか。なぜこの人は、ユスティーナを見つめる瞳に、愛情と憎悪を綯交ぜにしているのか。
分からないけれど、その瞳に見つめられると、ユスティーナはどうにも胸が高鳴ってしまう。
世間では、厭世家の人形師と呼ばれる、まるで生きているように緻密な人形を作り出す天才アベル・コントラット。
ともに生活しながら、身体も開いて、ユスティーナは彼に溺れていく。
いつか、手放されるその時まで、冷えてしまった彼の心を暖め続けようと、決意して。
――ねえ、アベル。わたし、あなたのこと、ちゃんと愛してあげられたかな?