あらすじ
「リーゼロッテ、貴様のような無能はこの国に不要だ。今すぐ消えろ!」
夜会で突きつけられた理不尽な追放。
だが、彼らは知らない。私が「無能」に見えたのは、国の全土を覆う『大結界』を一人で維持し続けていたからだということを。
結界を解き、国境へと向かう道中、私は信じられない光景を目にする。
数千の魔獣に包囲され、絶体絶命の危機に陥っている隣国の「冷徹皇帝」ヴァルターの姿を。
「……危ない!」
思わず手をかざした瞬間、一国を守っていた私の魔力が、彼らを守る【絶対不可侵の結界】となって展開される。
「一国の魔導師団をも凌駕する結界……君は一体、何者だ?」
魔獣を退け、私を抱き上げた皇帝の瞳には、剥き出しの執着が宿っていた。
「ようやく見つけた。私の国に必要なのは、君だ。――さあ、我が国へおいで」
隣国で過保護に愛される私の一方で、結界が消えて魔獣に蹂躙され始めた元婚約者の国が、必死に私を探しているようですが……。
「今さら戻れ? ……お断りです。私の結界はもう、愛する人のためにしか使いませんわ」