あらすじ
世界にはダンジョンが存在する。
魔物を生み、人類に危険をもたらす一方で、資源と成長の場としても利用されてきた。
人々はそれを攻略し、管理し、世界は回っている――そう信じられていた。
少年・カナトは、ある日突然、その世界に落ちてくる。
召喚でも転生でもなく、理由も使命も与えられない、ただの落下だった。
人類圏アステリア領の王都近郊で生き延びた彼は、冒険者として活動を始める。
しかし、彼のステータスには説明できない欠落があり、正式な評価を受けることができない。
初心者向けとされるダンジョンに挑む中で、彼の周囲では少しずつ“想定外”の出来事が起こり始める。
あるところには、より危険な場所が存在し、
あるところには、人の手に余る領域が広がっている。
森そのものが異質な場所や、人類とは異なる存在が暮らす土地も、この世界には確かに存在していた。
カナトは英雄ではない。
大義や使命を掲げることもなく、
ただ、生き延びるために進み、
進んだ先で感じた違和感から目を背けずにいるだけだ。
これは、
記録に残らない一人の落下者が、
世界の片隅で選択を重ねていく物語である。