あらすじ

本編を一度読んでからこちらを読むことを強くお勧めします。 北の最果ての村に住む青年・カイルは、雪の中で行き倒れていた記憶喪失の少女・リズを助ける。 リズは、冬の極寒の中でも「暑い」と言って薄着で過ごし、包丁を持たせれば食材を粉砕し、火を使えば鍋を消し炭にしてしまう、絶望的に世間知らずで不器用な少女だった。 「いつか、カイルに美味しいスープを作ってあげたい」 そんなリズの健気さに惹かれ、二人は貧しくも穏やかな日々を過ごしていく。しかし、カイルは気づき始めていた。彼女が歩いた後の雪が溶け、その肌が触れれば火傷するほどに熱いことに。そして、彼女から漂う、この世のものとは思えない神々しい沈香の香りに。 ある日、村に「災厄の種」を追う異端審問局が現れたことで、二人の日常は崩壊する。逃げ込んだ極限の雪山で、カイルの命が尽きようとしたその時、リズは自ら「人間」であることを捨て、その内側に宿る「太陽」を解き放つ。 炎の中から現れたのは、カイルの愛した少女ではない。 すべてを焼き尽くし、すべてを忘却する、孤独な神――不死鳥の姫だった。 溶けた指輪と灰だけを残し、彼女は空へと舞い上がる。 これは、愛した人の体温さえ、二度と思い出せなくなった男の絶望の物語。

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カクヨム
カクヨム2026/03/05
  • 現在の作品スノー・ホワイト・パイロ