あらすじ

古来より「生」を司り、その身を植物へと変える宿命を背負った一族、葬花の徒(そうかのと)。その一族の青年・**カグル**は、生命工学組織「理の回帰」によって地下の檻に監禁されていた。 隣の檻にいたのは、左目に数千の死者の怨念を宿した少年・カムイ。壁越しに指先を触れ合わせ、カグルが語る「太陽の下の世界」の話だけが、二人の絶望を繋ぎ止めていた。 【破:密告と再会】 カムイが脱走した直後、カグルの異母妹による密告で一族の聖域は崩壊する。カグルは家族を失い、自らも過酷な人体実験の末、植物化の予兆である「胚花成(emf)」の力を覚醒させる。 数年後。呪いの暴走により村を壊滅させようとしていた少年・カムイの前に、髪の半分を白化させたカグルが現れる。カグルは自らの命を削って咲かせた花でカムイの闇を鎮め、二人は「一味徒党」として運命を共にすることを誓う。 【急:影の繭と真実】 カグルの植物化は進行し、陽光の下では身体が樹皮のように固まる呪いに蝕まれていた。カムイは自らの忌まわしき「影」の能力を使い、カグルを太陽から隠す「影の繭」を作り出す。 「もう、放っておくなよ!」 互いの弱さを曝け出し、絆を深めた二人は、妹を救い出し、全ての元凶を断つために組織の要塞へと潜入する。 【終:生と死の協奏曲】 要塞の最深部で待ち受けていたのは、生命をデータとして扱うドクター・ヴィーゼン。激闘の末に彼を打ち破るが、同時にカムイの左目が完全に暴走。自我を失い、死を撒き散らす「影の簒奪者」と化したカムイを救うため、カグルは彼の精神世界へと飛び込む。 怨念の群れに対し、カグルが選んだのは「浄化」ではなく「共生」と「犠牲」。カグルは残された全ての寿命を使い、巨大な「花の蕾」を形成して怨念をその身に封じ込めた。 【結:太陽の下の笑い】 呪いは消え、カムイは影の能力を失う代わりに、一人の「人間」としての自由を手に入れる。 しかし、その傍らには、動かぬ「銀色の巨木」へと姿を変えたカグルの姿があった。 数年後。かつての戦場に根を張り、太陽の光を浴びて輝くカグルの木。その下には、穏やかに成長したカムイがいた。影を失った彼を、今はカグルの枝葉が優しい木陰となって守っている。 二人が夢見た「太陽の下の再会」は、静かな風の音と共に結実する――。

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小説を読もう2026/03/05
  • 現在の作品葬花の徒と影の器 ―太陽の下、君の木陰で僕らは笑う―