あらすじ
「命を繋ぐはずの知恵が、世界を壊す兵器に変わる。――その引き金を引いたのは、一人の少年だった。」
かつて忍びの里で、誰もが信じていた。
里に伝わる秘伝の巻物は、一族の繫栄と命を繋ぐための「精力剤」の処方箋であると。
だが、里が壊滅した翌日。
燃え殻となった故郷に立ち尽くす生き残りの青年・玄瑞(げんずい)の前に現れたのは、死体を漁り、飢えた野犬のように生きる一人の野盗――刹(せつ)だった。
最悪の出会いを果たした二人は、やがて一人の少年・梓(あずさ)と出会う。
梓の天才的な知能は、その古びた巻物の中に、服用者の理性を焼き切り、不死身の軍勢を作り出す禁忌の霊薬『強靭丹(きょうじんたん)』の真実を読み解いてしまう。
「俺が捕まらない限り、あいつらの野望は完成しない」
己の知恵が「死の軍勢」を生む鍵であることを知った梓。
彼を守り、奪われた巻物を取り戻すため、玄瑞と刹は、底なしの死地へと踏み出す。
しかし、彼らの前に立ちはだかったのは、かつて里の英雄と呼ばれた“男”だった。
男は冷徹な眼光を放つ。
「お前は昔から、肝心なところで詰めが甘い」
それは、信頼が裏切られ、物語が「本物の地獄」へと変貌する合図だった。
絶望の淵で、野盗の少年・刹が寸鉄を握りしめる。
これは、大人たちの狂った野望に翻弄される子供たちが、小さな革命を積み重ね、自らの人生を奪い返すまでの物語。
――その「地獄」の先で、少年は何を見るのか。