あらすじ
三十代に入ったばかりの女性三人が殺人計画を立てる。
ひとりは主人公の免疫学者で准教授。ひとりは内科医。ひとりは看護師。
殺害対象は複数の男と女。夫々殺したいほど憎いハラスメント加害者。
主人公は新開発した心筋免疫抑制剤と心筋炎を引き起こすウイルにより、高い確率で殺害できると確信する。
司法解剖でも新薬は検出できないはずで、完全犯罪になる可能性を秘めていた。
殺害は上手くいったが浅草の名探偵が絡んでくる。
警察が事故死、病死と断定するなか、探偵に他殺の疑いを持たれ、主人公は徐々に追詰められてゆく。
主人公は覚悟するが、探偵が詰め切れずにいると知りほっとしてカフェで寛いでいると、偶然被害者遺族と隣り合わせ、その深い悲しみと苦しみに触れ、ほかの遺族のことも気になり様子を見に行く。
なかでも父親が死んだことを理解できない幼い娘が放つ一言に心打たれ深く後悔する。
折しも看護師が巨額な遺産を相続し保育園を建設する計画を打ち出していた。
三人でその計画を実現しようとするのだが、幼い娘の一言が主人公を悩ませる。
苦しくて自首し強く自分が殺人犯だと主張するのだが、捜査は終了しているとして相手にされず、遺族に余計なことを言わないようきつく釘を刺される。
保育園建設計画は着実に進み、主人公の彼氏も仕事を辞めて保育園で働くと言い、一緒に頑張ろうと励まされ何も言えなくなる。
悩みは深まる一方、苦しさに負けて自殺も考えるが、彼氏にプロポーズまでされた上妊娠の可能性を感じる。
喜びの一方で母親が殺人者だなんて、という思いがまた死への道へと駆り立てる。しかしお腹の子はすでに生きてる、もうひと殺しなんて、という思いが十字架を背負ってでも生きるべきだといざなう。
主人公はその狭間に佇み身悶える。
最初の被害者が出てから一年が過ぎ、主人公は生きる道へと心を傾けつつ大学前の横断歩道を歩いていて、気付くと大型トラックが目の前に迫り、幕は閉じる。