あらすじ
亡き父は、名の知れた能楽師だった。
その背を追うようにして舞台に立ち続けてきた染井源紫は、父がかつて源頼光を勤めた演目『土蜘蛛』において、鬼の役を任される。
父の型をなぞることでしか、自らの立ち位置を確かめることのできなかった源紫。
だが、その継承は同時に、他者を圧してしまうほどの“何か”を内に宿すことでもあった。
本番の舞台で鬼を演じるなか、源紫は、自身の内に巣食う父の気配と向き合うことになる。
鬼の面の裏で、ひとりの能楽師は、己の在り方を選び取ろうとする――。
表紙はCanvaにて作成。