あらすじ
どうやらこの文章を書いた者は、「後書き」という言葉の意味を少し取り違えているようだ。何も書いていないのに後書きとは、文章どころか、小説すら読んだことのない文盲なのではないかとさえ思えてしまう。
そんな書き手がこれから綴っていく物語は、あるいは荒唐無稽かもしれないし、あるいは本当にあったかもしれない出来事についての話である。すべての物語が終わりを迎えたそのあとに記される、もしもの物語。事実のようでいて、しかしフィクションでもある物語だ。
書き手はそうした選択の中で、大切な縁や懐かしい思い出、胸の奥深くに刻まれた教訓を一つひとつ得ていった。すべての選択が正解だったわけではない。けれども、その選択があったからこそ、今の自分があり、そしておそらくこの文章を読んでいるあなたがいる。
これから語られる物語の主人公は、読者の皆さんの中の誰であってもおかしくない。もしそれが自分の物語のように感じられたなら、どうかそっと微笑んでほしい。きっとそこには、物語とは違う選択の果てに今あなたと出会えた書き手の、静かな感謝の想いが咲いているはずだから。