あらすじ
「目障りだ。貴様を愛する気など欠片もない」
北の果て、氷雪の城に嫁いだ薄幸の令嬢ロザリアを待っていたのは、冷酷無比な公爵ウォルフからの憎悪だった。
実家の男爵家が公爵家を裏切った因縁により、ロザリアは『呪いを受けた人質』として差し出されたのだ。
冷たい北塔へ幽閉され、食事も満足に与えられず、下働きとして虐げられる日々。
しかし、ロザリアは一切の反論をせず、ただ静かに微笑んでそれを受け入れる。
なぜなら、彼女の心臓はすでに『硝子化の呪い』に蝕まれ、余命いくばくもなかったから。
そして――その呪いは、かつて幼い日のウォルフを庇って受けた「身代わりの呪い」だった。
真実を隠し、彼が「目障りな悪女が死んでせいせいした」と笑えるように、一人で逝く準備を整えるロザリア。
だが、運命の日。彼女の硝子の心臓が砕け散る瞬間、隠し通してきたすべての真実が暴かれる。
「……嘘だ。俺が殺そうとしていたのは、俺の命の恩人だったというのか?」
すべてを失った時、氷の公爵は初めて絶望に狂い、血を吐くような後悔に身を焼くことになる。
死にゆく少女と、真実に気づくのが遅すぎた男の、切なくも残酷な愛の物語。