あらすじ
「娘の初恋相手は、人類の希望(殺人鬼)でした」
辺境の登記所に勤めるしがない低級官吏、アーサー。
彼の唯一の宝物は、亡き妻が遺した愛娘・リリィだった。
だが、そのリリィが「白銀の英雄」アウルムに恋をしたことで、アーサーの平穏な日常は瓦解する。
前世で日本警視庁の「鑑識官」として数多の死体と向き合ってきたアーサーは、英雄の爽やかな笑顔の裏に潜む、僅かな「違和感」を見逃さない。
靴に付着した処刑場特有の植物、歩行パターンの異常、そして登記記録に刻まれた「不自然な行方不明者」のログ。
アウルムの正体は、聖女候補を「魔力の苗床」として食い潰す、史上最悪のシリアルキラーだったのだ。
リリィが次の生贄に選ばれたと悟った瞬間、魔法才能ゼロの「お父さん」は決断する。
「英雄を殺して、その死体を論理で消去する」
現代日本の鑑識知識による物理暗殺。
「汚れ落とし」だと信じていたリリィの魔法(分子分解)を利用した死体処理。
さらには登記官の職権を濫用した「公文書の改ざん」による、英雄の存在そのものの抹消。
しかし、王都からは「過去視」の権能を持つ最強の捜査官が派遣され、アーサーの構築した完全犯罪の綻びを追い始める。
「法」と「魔法」が交錯する異世界で、一人の父親は愛する娘の笑顔を守り抜けるのか。
これは、世界を救う英雄を殺した男が、世界を欺き通すまでの「完全消去」の物語。