あらすじ
【完結確約・カクヨム10テーマ小説コンテスト参加】
【あらすじ】
中国・雲南省の茶山では、今なお春の茶摘みの前に一人の男を祀る。
三国の蜀漢で丞相を務めた天才軍師、諸葛亮(孔明)。
なぜ彼が「茶の神(茶祖)」として信仰されているのか?
これは、千八百年前の南中で起きた、“もしも”の物語である。
時は建興三年。
北伐の憂いを断つため、諸葛亮は反乱が相次ぐ南中へと兵を進める。
しかし、彼らを待っていたのは中原の常識が通じない「緑の地獄」だった。
毒虫、瘴気、そして熱病。南中の覇者・孟獲と剣を交える前に、蜀軍は次々と倒れていく。
絶望の泥沼の中で、諸葛亮は密林に自生する「苦い葉」に出会う。
「この葉には力がある」
兵を救うため、そして決して屈しない孟獲の『心』を攻め落とすため。
諸葛亮は軍略を捨て、未知なる葉の探求——『茶略』へと没頭していく。
風に晒して「白茶」を作り、揉んで熱を加えて「紅茶(赤い琥珀)」を生み出し、長雨の黴から微生物の力を借りた「黒茶(プーアル茶)」の奇跡へと辿り着く。
三国志における有名なエピソード『七縦七擒(孟獲を七度捕らえ、七度放つ)』。
その裏側で行われていたのは、武器を持たない軍師と、誇り高き南蛮王による「七度の茶会」だった——。
武力による支配ではなく、茶という文化と産業によって真の平定を成し遂げた男たちの、静かで熱い絆の物語。
「時間を置くほどに、美味くなるのだと、あの男は言った」
一杯の茶が織りなす、千八百年の極上熟成歴史ロマン。