あらすじ
**ただいまが聞こえる家**
― 僕らの大家族はゼロから始まった ―
帰る場所なんて
ずっと知らなかった。
夜になっても
灯りを待つ窓はなくて、
「ただいま」と言う相手もいなかった。
それでも僕らは出会った。
同じ寂しさを知る二人として。
小さなアパート。
軋む床。
ちゃぶ台ひとつ。
豪華なものなんて何もない。
それでもその夜、
僕は初めて言った。
「ただいま」
君は少し驚いて、
それから笑って言った。
「おかえり」
たった二人。
世界で一番小さな家族。
けれどこの声が、
この灯りが、
このぬくもりがあるなら
きっと大丈夫。
いつかこの家に
子どもたちの笑い声があふれて、
靴が玄関に並んで、
帰ってくる声が
重なっていく。
「ただいま」
「ただいま」
「ただいま」
そのたびに僕らは思うだろう。
あの日、
何も持っていなかった二人が
ゼロから作ったものは
家ではなく、
**帰る場所だったんだ**と。