あらすじ
2026年 ファンタジー新作
「この世の中、生きて歩きたけりゃ、ちょっと多めに『調味料』を仕込んでおくもんだ」
十九歳の獣人の少女コラにとって、マングローブの泥干潟に絡む気根と、部族の焚き火の匂いが世界のすべてだった。
祖父を蝕む病を治す唯一の霊草を求めて潮汐帯に踏み込んだ日、彼女は「亜倫」と名乗る謎めいた人間の旅人と出会う。
亜倫からは、恐怖の匂いがしない。
粗末な香辛爆弾で頂点捕食者を退け、荒くれた港で強欲な船長と渡り合い、果ては巨大な地下暗網の深部へ仲間を率いて潜る男。
彼の足跡を追ううちに、コラは想像すらしなかった壮大な旅路へと踏み出していく——
灼熱の灰塩平原、伝説の深海に眠る地竜島、そして闇の陰謀が蠢く王都の地下水道へ。
これは、終わらない旅を歩む者と、初めて世界を知る少女の物語。