あらすじ
河川沿いの過疎地で、うだつの上がらない交通誘導員として働く22歳の“紺栗明日春(こんくりあすはる)”は、ターコイズブルーの髪を靡かせ、命がけで魚を狩る野生のカワセミ亜人の少女“そにあ”の「完璧な飛び込み」を眺めることを、鬱屈とした感情を交えつつもある種の生き甲斐としていた。
ある日、明日春は狩り場を追われ弱っていた彼女に、スーパーで買った惣菜の焼魚を与えてしまう。
しかしそれは、野生の彼女にとって絶対的な「つがいの契り=求愛給餌」を意味していた。
「お前、つがい」
なし崩し的に始まった、四畳半での奇妙な同居生活。
人間の定義も常識も通じない。それでも、熱を出せば命がけで温めようとし、不器用に獲物を分け与えてくれる彼女の純粋さに、明日春の止まっていた時間は少しずつ動き出していく。