あらすじ
遺品整理会社『思い出の掃除屋』で働く安本巳喜男は、孤独死現場の「四隅をなぞる」という古臭いまじないを鼻で笑っていた。
築30年のマンション404号室。そこで見つけたのは、死後二週間とは思えないほど乾燥した美しい女の遺体と、異様に熱を帯びた一台のスマートフォン。
物欲に負け、スマホを盗み出した巳喜男は、そこに残されたSNSの投稿を目にする。
『人生をリセットして、真の幸福を手に入れるおまじない』
画面の四隅をなぞり、前の持ち主の指紋をなぞる――。
軽い気持ちで儀式をなぞり終えた時、巳喜男の肉体に変調が訪れる。解像度が上がる視界、透けていく腕。そして液晶の奥から、瑞々しい生命力を取り戻した「彼女」が這い出し、耳元で囁いた。
「新しい、背景さん」
それは、幸福(肉体)を求める死者と、欲深い生者が入れ替わるための残酷なシステムだった。デジタルと呪術が交差する、現代の怪異譚。